ジュズツナギ

第 55 回

「 魔界の中心〜西部講堂 」

ワダ・ザ・ヴァンパイア!
( VAMPIRE!)

大学入学時に軽音楽部で結成した僕らのバンド=ヴァンパイア!は今春から結成28年目にはいるんですが、活動ベースはず っと京都です。途中5年間ほど僕が海外に居たため活動休止しましたが、当時のバンドで同じ名前でずっと活動しているのは 数えるほどしかないのと違いますか?ウチの如き「変なバンド」が息の長い活動を続けてこれたのは、拾得、磔磔をはじめと する「京都ライブハウス」の土壌があればこそ、、、と常日頃感謝しています。

旧友しのやんが当ジュズツナギの随分前の回で京都を「魔界都市」と書いてましたが、僕にとって「魔界」の中心にでーんと 座っているのは西部講堂なんです。上記の通り入学してすぐに入った軽音楽部のクラブBOX(練習場)は西部構内入り口右手 前のサークル棟(木造2階建て)にあった汚い部屋でした。

で、そのBOX(焼失しました。koba-yangの回参照)のあった西部構内の奥に鎮座まします西部講堂。入学当時はストラングラ ーズの2回目、トーキング・ヘッズ、XTCなどパンク・ニューウェーヴ系のコンサートが目白押し。京都における「ロックの殿 堂」状態ですな。そのうち有名なポリスのコンサート中断事件があって、対応策というか「総括」の超長時間会議に代理出席 したのが、僕と西部とのかかわりの始まり。軽音楽部は映画部と共に正式な学内サークルとして西部講堂連絡協議会(=西連協)の重要構成メンバーだったので、、、

軽音楽部は「Rock Steady」という恒例イベントを西部講堂で6月頃にやるので、それを主催したのが、初めて僕が西部でう ったイベント。ハッキリ言って西部は埃は多いし、照明吊るにも足場組まないかんし、決してその辺の貸しホールのようにお 手軽にイベントやれる場所ではないんです。でもその軽音のイベントが終わった後に、完パケになった暗い講堂の中で、独り で天井を見上げると、天井に穴が開いていて、そこから星のように外の明かりがキラリと見えたんですわ。当時は屋根大規模 補修前で、実際に星が見えるほどの大きな穴があったのかも。"The most beautiful theater of the world" (by F.Zappa) を肌で感じてしまったわけです。二十歳ちょいで感受性も強かったんやろね(笑)。

「ああ、またここで何かやりたいなあ、、、」その時、凄く疲れていたはずなのに、心の底からそう思ったんですわ。やるん なら、パンク/ニューウェーブ系のイベントをやりたいとも思った。そこで既に「ビート・クレイジー」(略称:ビークレ) という企画団体を立ち上げていたしのやん&故ランコさん(コンチネンタル・キッズ)、HIDE君(現ウルトラ・ビデ、当時ア ニマルZ)、Idiot O'Clock先生たちに「一緒にやれませんか?」と人づてに紹介してもらってビークレに加入したのが、僕が ずっぽり西部に足を踏み入れるきっかけ。ビークレ在籍時は数え切れないほど沢山の西部イベントやライブハウスでのイベン トをやりました。どのくらいやったか全然覚えてないほど沢山(苦笑)。

西部を愛している人たち、特に西連協のメンバーで西部の事情を良く知る人ほど、あの老朽化した木造建築がどこかのお寺の ように文化遺産的扱いを受けて、未来永劫保存されることが非現実的であることは分かっているはず。「巨匠フランク・ザッ パも公演しました」、「日本のロックのパイオニア、村八分が歴史的ライヴアルバムをレコーディングしました」と言っても 大学当局に対しては無力やろうしね(あたりまえか、笑)。

でも、でもね、僕はあの建物には何か特別な魔力があって、周りには強力な結界が張られていて、いつまでたっても、僕が死 んだあとも、あのたたずまいでずーっと西部講堂はあのままの姿であそこにあるような気がしてしまうのです。能天気なセン チメンタリズムかなあ。でも本当にあそこには何か宿ってますって!その上、チャー坊(村八分)、ランコさん、どんと(ボ ・ガンボス)、、、と西部を愛した守護霊の皆さんも強力メンバーやしね。


ジュズツナギ
つぎの方は…
東賢次郎
つれづれ
ワダ・ザ・ヴァンパイア!
VAMPIRE!
小原増男
OOH-LA-LA

ジュズツナギ第56回は、西院のライブハウス、OOH-LA-LA(ウーララ)のマスター小原増男さん。長く京都におけるライブハ ウス空白地帯だった右京区にOOH-LA-LAを開店して今年で7周年。6月には7周年記念ライブのナイスな企画が目白押し!昨年 から2号店として旨いものの喰える「タンブリング・ダイス」も開店。実は名コック。


ワダ・ザ・ヴァンパイア!
キャリアは長いのに所謂MC(曲間のしゃべり)ができないフロ ントマン。ウケ狙いで入れたヒネリが逆にお客さんに無用の緊 張感を生む特異な作曲・アレンジ手法で知られる。ええ変態さ んですとも、何が悪い?的なソロ活動を最近は活発に行ってい るが、機材が増えすぎて非力な体では身動きが取れなくなる日 も近い。エフェクターマニアのボランティア・ローディー求む (割りとマジ、笑)。

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