ジュズツナギ

第 46 回

「 動かされたのはすばらしい音楽にではなくその生き様 」

竹中建三
(アセント)

KYOTO MUSEの行貞さんからジュズツナギを受けた竹中建三です。もう片手に数珠を持って,繋ぐどころか格好良くフェイドアウトするチャンスを窺ってる私などが受けて良かったのかと後悔しています。でも、行貞さんから頼まれては「ノー」と云えない立場なのですよ。「はじめにきよし」で銭湯ライブをやりたく、長年そのことを言い続けてきたのですが、それを耳にした行貞さんが翌日京都錦の「錦湯」へ出向き、決めてきてくれたのが出会いのきっかけでした。イベントは大成功でしたが、そのことよりも私には行貞さんというステキな若者と知りあえたことがとても嬉しかったのです。今も現役でラグビーをやっているそうですが、スポーツマンらしい敏速な行動力と的確な判断、明るい笑顔は音楽の仕事を超越した「生き方の基本」だと思います。私はそんな笑顔に会うため用事もないのにMUSEにたびたび立ち寄っています。なぜか、やる気をもらって帰れるのです。こんなことを書かれては、本人きっといやがるでしょうね。でも、これはジュズを回した君の責任ですから文句は言えないですよ。

自己紹介にも書きましたがキングレコードでは37年間ほとんど宣伝の仕事を担当していました。テスト盤と呼ばれるレコード(今はCDですが)とフライヤーを持って放送局や紙媒体へプロモーションに出かけるのがその仕事でした。キングレコード時代、前半は洋楽のプロモーションが主でしたが、とても楽しい時代でした。アーティストが側にいない、事務所のチェックがない・・・自分の好みとペースでプロモーション出来ました。もちろん海外のレーベルから実績やチャート状況のチェックはあるのですが、遠い外国のことです。結構 自分の趣味でやっていたようです。

しかしレコード会社もメジャーといわれる会社ではジャンルが多岐に渡ります。どうしても洋楽系のものは若い担当者に、事務所やアーティストとの折衝が必要な国内盤はベテランにと振り分けられることが多いのです。私の場合も後半20年は国内アーティストの担当がほとんどということになりました。洋楽と異なり近くににアーティスト(人間)が居るという状況は厳しいです。メジャーでは全社上げての期待と祝福でスタートしたアーティストも結果如何ですぐ忘れ去られます。出番を待つ交代要員が次々山のようにいるからです。異論、例外もあるでしょうが「全社一丸となって」のかけ声でのヒットはあまり出なかったと思います。ひとり去り、ふたり去り・・気がつけばスタッフは自分だけ!売れなかった楽曲を捨てることは簡単です。でも、一緒に汗をかいたアーティストの存在は肩に重くのしかかってきます。全部はとても無理ですが、幾人かのアーティストとは人生を共に歩く結果になるのです。そんな苦しい時期「これ以上続けていても結果が出るかどうかは分からない。でも、止めたら終わりということだけはハッキリしている」と、とにかく前へ歩いたものです。世でビッグアーティストといわれる人たちにも、こんな時期があり、ギリギリを支えてくれたスタッフがいた話をいくつも聞きます。もちろん素晴らしい音楽感性があってのことですが、そのキーはアーティストの人間性です。組織力ではなく、人間共感で人が人を支える懸命さがいつか世をも動かすのです。そういう意味ではメジャーよりインディーズシーンにチャンスがあると常々思っています。

「組織が東京なら情は関西」転勤の話も何度かありましが「東京嫌い!」をもろ言動、顔に出していた作戦は大成功。お陰様で60才台半ばになりましたがずーっと京都をコンパスの中心に、いびつな円を描いて頑張っています。行貞さん変わらず相手してくださいね。


ジュズツナギ
つぎの方は…
ユキサダ
KYOTO MUSE
竹中建三
アセント
水島博範
磔磔

そしてジュズツナギでしたね。長年に渡り数え切れないミュージシャンが京都へ来てくれたのはこの人が、そう!磔磔の水島さんがおられたからです。 私が大尊敬する水島さんに「この方しかいない」とジュズを渡します。30年以上水島さんもずーっと人を担いで来られた方なのです。


竹中建三
キングレコードへ1963年入社。当時、洋楽レーベルの多かったキングでプロモーションを担当。ローリングストーンズ、テンイヤーズ・アフター、ムーディーブルース、カーペンターズなどからジャズ、ブルーグラスやクラシックまでオールジャンルの宣伝に関わる。国内アーティスト関係ではベルウッドレコードの立ち上げ、伝説の「春一番」(天王寺野音)コンサートを通じて多くのフォークミュージシャンとの交流が始まる。キング時代後半は演歌・歌謡曲関係の宣伝を担当。1999年キングレコード退社。キング在籍時出会った「はじめにきよし」の所属事務所(有)アセントを立ち上げ現在代表取締役。

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