熟達する。 絵師さんの筆遣い、大工さんのかんながけ、料理人さんの目分量、などなど。 一つの作業に集中する。 これとは別に先人の知恵、というものもやはり上と同じく、理屈後回しで「とにかくこうせよ」と言われ、続けて行くうちになぜそうすると良いのか、その理由がわかって来る。 ときにはその時点で、自分の個性には合わなかったり、作業効率から考えてあまり必要ない事だ、というのが理解できる時もあります。 仕上ったものの個性と、そのもの自体の善し悪し、また作者の善し悪しは、密接に関連していますが、別ものだ、というのもあながち間違いではない、と思います。 音楽という、善し悪しより個性が先行して評価されかねないものに携わって、もう四半世紀を越えてしまいました。 未だに、熟達からはほど遠いところにいるのが何とも辛いですが、何もかもひっくるめて「個性」と開きなおってしまうにはまだ早いようにも思います。 '70年代のブルーズ=京都という図式に、幸か不幸か乗り遅れた僕がたどった道筋は、 とりわけ古いR&Bからモータウン、フィリーソウル、一連のファンクグループには魅かれましたね〜。 この状態でアリヨさん(有吉須美人:ブルーズピアニスト、現シカゴ在住)と出合い、アリヨズシャッフルに在籍することになります。 ブルーズをやるのにも彼は、ショーという概念を持ってステージングを考えている。 今考えたら当り前のことなんですけどね。 そしてアリヨさんを通じてのValerie Welintonとの出会い。 この頃から僕の右手中指が上がらなくなってきます。 バイク事故の後遺症を潜在的に持ったまま、そうとう無理な姿勢と、緊張から来る力の入った状態でプレイを続けていた、というのがその理由でしょう。 一時期はギターやヴォーカルに転向しようか、それとも音楽自体をすっぱり止めてしまおうかと、ずいぶん悩みました。 が、アポヤンドという奏法に「ヒント」が残されていたのです。 これを組み合わせて行くと、人差指1本でもけっこうなバリエーションが拡がります。 しかしこの奏法も万能ではなく、同じ弦を連打は出来ないので、間に合わないときはしかたなくピックを使いますが。 悩みながらも生き残る道を模索していたのが、我ながらちゃっかりしてます。(汗) そしてそしてStaple Singers。 ですが「へ?」と思うぐらいフレンドリーな人たちで、末っ子のMavisなんかはノリがもう関西のおばちゃん。 それから、Timというドラマーにはホントにやられちゃいました。 「音楽はテクニックではない」ということを身をもって教えられました。 これはまたStaple一家のパパ、Popsにも。 目からウロコの連続でした。 もうPopsもValerieも、鬼籍に入られています。 厳しい時代です。 足を運んでお金を払って音楽を聞こう、楽しもう、という方が少ない事。 でも現場では、音だけでは推測できないことがあります、わかります。 これは僕に限らず、音楽を作る人間、すべての願いだと思います。 ご存知ですか? 作る人の思いが、そこには必ずあります。 |
三田 悟志 OUT LOOP-WAY BLUES BAND |
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ダンカン 林 ベーシスト・シンガー |
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ゴトウゆうぞう エンターティナー |
第35回は、ゴトウゆうぞうさん。ユニット "ゴトウゆうぞう&ワニクマ・デロレン&マキ" を率いてユニークなギグを繰り広げるかたわら、レーベル "Red Inc" を主宰、個性的なミュージシャンたちのアルバムを精力的にリリース、京都を根城に活躍をつづけておられるパーカッショニスト・ヴォーカリスト・プロデューサーです。 |
![]() DUNCAN 林 |
ベーシスト・シンガー。1959年京都生まれ。 ブラックミュージック・ラテンに根を持つ安定したプレイには定評がある。 古谷 充、東原 力哉、塩次 伸二、Jaye 公山、渡辺 大之伸、大西 ユカリなど、在関西のミュージシャンとの共演はもとより、 木村 充輝、有吉 須美人、甲本ヒロト、ブラザー・トム、Skoop on Somebody、またアリヨズシャッフル在籍中、故Valerie WelingtonやThe Staple Singersの来日公演サポートなど。 |
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