このインタビューは、タブロイドマガジン「WritingSpace」でオトサタドットコムがプロデュースするページ「オトサタペーパー」に掲載されたものです。

Vol.1 ドラヒップ
「WritingSpace」創刊号掲載 2001.10.1


ドラヒップを初めて見たのは京大の吉田寮ライブ。深夜突如としてステージに現われた真っピンクのヘッドギアを付けた二人。へんてこりんなラップと共にくりだされる様々な遊戯。なんで“相撲取り”になるのだ?なんでそんなにも“ぶりっこ”になるのだ?そしてサンプラーの側に座ってボソボソ相談?している二人はなんだ??わからない。でもいいではないか、その突き抜けた踊りっぷりに脱帽。斯くしてドラヒップの最初の印象は「へんてこりんラップと愉快な踊り人」であった。また、むうとん、しじょう (ボーカル、踊り) は二年連続でフジロックに出場し、愉快な踊り人として大活躍。初めて見た観客をいろんな意味で唸らせたことだろう。今回はむうとん、しじょう、スズキ (プログラマー) の三人に話して頂いた。なお、クマムラ氏 (プログラマー) は蒸発中のため欠席。 つづき>>
○相撲の歌とか若さを讃える歌とか歌詞がオモロい(※3)んですが、歌詞のテーマは?

む:
自分たちのその時々の流行で作ります。相撲の歌(「メタル&ちゃんこ」)は、練習中に相撲声で遊んでたらクマに「相撲声のラップ作ろうや?」と言われて出来た。
し:「ララララブソング」と「ハーフ&ハーフ」は久保田利伸にインスパイアされて。
む:クボタは、かなりリスペクトしてる!(笑)「ユメwith you」ってのも作る予定やった。
し:「SO YOUNG!」は急に歳のことを言われ始めて、この野郎!と思って作った。若さとは作るものだ!Oh yeah! 今は年寄りがカッコイイな。最近のお気に入りは「ドラヒップ音頭」(チェキラ・チェキラ・チェキ・チェキ・ラ?♪と言うらしい) でも最近は、段々社会派になってきてるな。
(スズキ氏に向かって) そう、ドラヒップは社会派になるよ! (宣言)
ス:…(苦笑い)

○社会派って、例えば失業率の問題とか?

し:おー、それはズンッとくるね(笑)私の今月の月収2万くらいやで。
む:私は時給700円で2万4千円。
ス:…(無言)
し:3人で月収4万4千円か!?

○ドラヒップを知らない人に、どんな音楽か説明するとすれば

し:えーと、「音作って、それに合わせて言葉を話す」
む:で、「喋ったり踊ったりすんねん」(笑)

○うーん、わかりやすい、かな?…じゃあ、これからドラヒップはどういう存在でいたいですか?

ス:”箸休め”。
し:パンクなんです!実は。パンクスピリットを持ったままやっていきたい!冗談でアイドルっていうと本気にされるからなぁ。
む:なんやろ、ドラヒップはドラヒップやな。

○つまり、パンクスピリットとオリジナリティ溢れる存在?ということで。では、今後の目標は?

しじょうし:ツアーをしたいな。今まで誘われたらやる、って感じだったんで。もっとアクティブになろうと。あと、楽しい社会派の曲を作りたい。生きることは即ちすべて政治的なことですから!ガハハ(笑)
む:エレカシ宮本(※4)に会う!ヒロジ最高!ヤバイ!全てがヤバイ!(興奮)
ス:…公務員試験合格。
し:お互いの道をがんばると。
一同:(笑)

○(笑)なるほど。ツアーをやりたいということですが、ちなみにどんなライブをやってみたいですか?

し:やっぱりね?、客が困った顔をしてるライブ。(笑)
む:対バンで浮いたりは日常茶飯事やね。でも鈍くてあんまり気付いてないな。まわりがヒヤヒヤするみたい。まあ自分が楽しいライブがいいな。

○読者にメッセージを

し:ドラヒップを可愛がって下さい。憎まないでね。ライブ行脚をしたいので呼んで下さい!
む:仲良くしてね!ライブは派手だけど普段は超地味なので話しかけてね。

「客が困った顔をしてる」。これはドラヒップを象徴している言葉だと思う。ここで「ドラヒップな時」というものを挙げてみると、例えば「不意にテレビでエアロビの大会を見た時」だ。画面には満面の笑みでダイナミックに踊る人。どうしたら良いのか一瞬戸惑い、少し小っ恥ずかしくなる。でも最後には「これでいい」とニヤついてしまうのだ。ドラヒップ、いっぺん見たらやめられない。

interview:内山奈穂子

※1渋さ知らズ…
ジャズベーシスト不破大輔を中心とする、フリージャズ系を中心とした日本トップクラスのミュージシャンやダンサーによる音楽パフォーマンス集団。不破の指揮のもと総勢70名程のメンバーが入り乱れて、歌い・踊り・演奏するステージは圧巻。今年のフジロックではステージに巨大なドラゴンを登場させ観客の度肝を抜いた。

※2スケボールック…
おバカで楽しいドラヒップの衣装。むうとんとしじょうは顔や体系が似ているのでペアルックだと双子のよう。ちなみにスケボールックは今風のものではなく、ヘルメットとニーパッドでローラースケート風。

※3歌詞がオモロい…
メタル好きの新弟子の出世物語「メタル&ちゃんこ」。ピーターパン症候群と批判されながらも、空からキャンディ降ってこないかなー、と夢想する「SO YOUNG」など、かなり歌詞はトンでます。でも、実は社会派?

※4エレカシ宮本…
むうとんとしじょうが大好き。二人でビデオ上映会をして、くにゃくにゃになっているらしい。
むうとん・スズキ・しじょう
左から、むうとん・スズキ・しじょう
○フジロックお疲れ様!あの謎のダンサーは誰だ!と各方面で話題になってるみたいやけど、渋さ知らズ(※1)での活動はいつから?

むうとん(以下・む):フジロックで初めて参加して、殆どぶっつけ本番やったね。客席にダイブしたりして、すごい楽しかったな。
しじょう(以下・し):メンバー70人で申請したのに、楽屋は6畳!ホテルもなくて野宿で雨にあたったりしてな…。”渋さ”は本当に忙しいし体力いるけどすごく楽しかったな。70人ぐらいいるけど独立した個人の集まりという感じで、好きにやらせてもらいました。今後も機会があればぜひやりたいな。

○ダンサーとしてフジロック2年連続出場って経歴だけ見たら凄いね、ホテルはなくても(笑)ドラヒップのステージもダンスがかなり楽しいんですけど、最初からこんなに踊ってたの?

し:いや、最初はうろうろ。
む:踊りだけの曲は踊ってたけど、ラップしながらの曲はボヤっとしてたな。
むうとんし:自分の所じゃないと、うつろな目でボーとしてた。歌詞を下に貼って見ながら歌ってたし。だいぶステージ慣れしたなぁ。感心、感心。

○フジロックではカウガール風?でしたが、衣裳も色々ありますね

し:スケボールック(※2)、原始人、てんとう虫、りんごちゃん、きのこTシャツ、かわいそうなアイドル(アラレちゃんみたいな)とか。あと、由起さおりみたいな衣裳もある。けど、未だにヤバくて手を出してない。毎回ライブの度に出してみて、「あかん!」ってしまう(笑)
む:いつか絶対やりたいのが「ドラヒップ・イン・ザ・フューチャー」!!(ヨボヨボの杖をついたおばあちゃんのポーズで)

○(笑)という大変ユニークなドラヒップですが、そもそも結成の経緯を教えてください

む:大学のサークルでしじょうとネガティブ・パンクバンド「ドラギリ」をやってたんやけど、クマ (クマムラ) に「サンプラー買ったしヒップホップしよ。」と誘われて「ドラギリ・ヒップホップ」→「ドラヒップ」になりました。でもヒップホップは聴いたことなかったな。
し:今も聴いてません!そしてこれからも聴かないでしょう!(笑)。 

○…コアなヒップホップの人が聞いたら殴られそうですけど…

む:うん、スチャダラだけは好きやけど。

○(笑)まあそんな感じでスタートしたわけですが、ずっとこのメンバーでやってるんですか?

む:メンバー元々はサンプラー、キーボード、サックス、ボーカルという形態で、その後メンバーの入れ替えがあって現在の4人になりました。でも、今クマは蒸発中です。
し:スズキ君もなんかしゃべり。
スズキ(以下・ス):
僕は後から入りました。学校でドラヒップの演奏を見て「同じ機材を持ってるー」って思って「入れて下さい」って。
し:最初はゴミみたいな演奏やった。すげー汚かったね(笑)。

○曲づくりはどうやってるんですか?

し:クマとスズキ君が曲をつくって、私たちは歌詞を。
む:(クマが蒸発してからは) しじょうと曲を途中まで作って寝てしまったり、スズキ君に任せて放り投げてしまったりしながら曲を作ってます。


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HISTRY OF DRAHIP
  
●96年夏 同志社大学で、ネガティブ・パンクバンドをやっていたむうとん、しじょう(ボーカル・踊り)が、クマムラ(プログラマー)にヒップホップをやろうと誘われ、「ドラヒップ」を結成。
その後、スズキ(プログラマー)が加入しメンバーは4人となる。
●99年8月  京都を中心に活躍するアーティストのオムニバスCD ATTITUDE#075京都に「とり?大人になります」で参加。
●00年5月 初マキシシングル「寝る前に」発売。
●00年7月  むうとん、しじょうが『FIJI ROCK FESTIVAL』でソウルフラワーユニオンと共演。
●01年7月  むうとん、しじょうが『FIJI ROCK FESTIVAL』に2年連続出演。渋さ知らズオーケストラと共演。


ドラヒップ
ドラヒップ
スケボーキングに京都のチボマットと絶賛され、フジロックで皆の目をクギ付けにしたドラヒップ。ブレイクは近いか?

ドラヒップのホームページhttp://hello.to/dorahip

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