ボロロン ボロロン
♪とうとう はまってしまったらしい 恋の地獄 蟻地獄
もがけばもがくほど はまっていくのよ 恋の蟻地獄♪
野村麻紀
「イヤーッまいった、今日はどんな事しゃべろ」田中正久レコード店々主、京都のネオンの街中を闊歩し、
恥ずかしそうにそれでいて勇気を出さんがために自分に問う。
「台本ないんですかぁ」私は尋ねた。
「大筋ではあるやけどなぁ、なかなか、しんどいなぁ、ヒョッヒョッヒョッ…」
いつものお決まりの引きつった笑顔とヒョッヒョッヒョッと言う笑い声がネオンの彼方に消えて行く、
消えて行く。
そこで私「松原からKBSて、チト遠くないですぅ?」と尋ねるが早いか
「イヤッ、仕入れで僕修学院まで歩く!ヒョッヒョッヒョッ」とこれ又早い答えが返って来た。
早いヤッヤッ、その差0.01秒、意気込み十分レコード屋、恐るべしヒョッヒョッヒョッ田中。
やっとの事KBSに到着、番組は始まっている。
重い扉をあけて
「SUNDAY FRONT LINE!!」ベーちゃんの声がスタジオ内響く。このホームページ主宰の伊藤君もラジオディレクターとして働いている。今回、田中さんの同行も伊藤ディレクターの仕事ぶりを見学すると言う目的があった。さすが凛々しいお姿、働く男は普段の姿とチト違う。そこでべーちゃんにQ(キュー)!!
「ハイッ今回のゲスト、ヴィレッジ・グリーンの店長田中正久さんですハーイ」
うーん気が重い、上手い事しゃべるんかぁ、一抹の不安が私を過る。
「あー、どうもどうも田中耕一ですぅ」 弱々しい声がスタジオの空気を一変する。
何を言われたか解らない司会者ベーちゃん「はぁ?」
予感が的中した!少しラジオには最大級のタブーとされる沈黙が後を追う。
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