オトサタ・ドットコムオープンに先駆けて行われた
第1回オトサタ鍋。筆者の実家の寺の座敷を会場に
行われ、時ならぬ乱入多数で盛り上がりすぎ、
インタビューもそっちのけの忘年会となってしまいました。
そんな中、ピジョンズのボーカル・ギターで最近は
京都の音楽シーンの肝っ玉母さんになりつつもある
渡辺智江にインタビューを敢行。ロックと女の幸せ
についてソウルフルトークを聞かせてもらいました。
しかーし!なんと、その後盛り上がった雑談ををMDに
上書き録音してしまい、迫真のインタビューは消滅…
あわてて再インタビューを試みるもお酒の入った
ベーちゃんはオヤスミ寸前。
というわけで、今回のインタビューは私の脳に録音
されたインタビューから構成されたものがほとんど。
でも内容ははずしてないので、ゆるしてね。 
              (オトサタ・ドットコム 伊藤)

伊藤「この間長野に行ってきたんやって?」
渡辺「そうそう。ネオンホールっていういつもお世話になってるライブ
    ハウスの人が呼んでくれて、ライブとレコーディングしてきてん」
伊藤「どうよ。長野は。田中知事で盛り上がってんのとちゃうの?」
渡辺「ネオンホールの近くに田中知事の家があるらしくて、
    定食屋でも「なんとなくトリスタル丼」売ってたで。
     でも長野はいいところ。深水さん(MADMAD)も、
    いいレコード屋とライブハウスがあるとこはよい音楽が育つ、
    って言ってたしなー」
伊藤「最近は岡山が面白いらしいね。レコーディングしたって
    言ってたけどリリースの予定はあるの?」
渡辺「このあいだMIDIの社長の大蔵さんに「曲はできてますか?」
    って言われたから大蔵さんに聞かそうと思ってるけど。」
伊藤「MIDIはサニーデイが解散していま大変やろうね。切り札として
    ベーちゃんがでるかも。コケッシーズもMIDIからだしてたやんね」
渡辺「MIDIクリエイティブっていうMIDIのインディレーベルやったけど、
    いちおう5年契約で」

伊藤「結構いい待遇とちゃうの?でもアルバム1枚で解散してもうたよね」
渡辺「そう。解散を言い出すときは大変やった。大蔵さんが京都に来たときにみんなで話が
    ありますって言って 祇園のお店に食事に行ってん。で、ジャンケンで負けたチヨちゃん
    (コケッシーズのフルート担当)が言い出す ことになったんやけど大蔵さんの方から
    雰囲気を察して「解散ですか?」って。
   でも解散が決まってすごい気持ちが晴れ晴れしたわ」
伊藤「レーベルからは期待されてたんやったら、無理してもうちょっと続けようとは
    思わへんかったん?」
渡辺「いやー、もうしんどかったし。人間的なこととかで。1年ぐらいやめたいなって思ってて、
    で結局私が抜けるって言い出して、それで解散しよかー、って」
伊藤「でも音楽はやめんとこうと?」
渡辺「ていうか、それなしには考えられへんしな」

伊藤「おー いさぎよいねー。で、きょうのテーマが「ロックと女の幸せ」は両立するか?
    なんやけけど、どう思いますか?」
渡辺「それはね…します!するよ!ロックだからというよりも、自分の好きなことが
    できてるときは幸せやん。女も男も自分がないと幸せになれません」
伊藤「じゃあ、ロック=幸せ、と」
渡辺「ロックをなにかの言葉で言い換えないとわからないけど。うーん…ロック=マジ!
    マジに活きていれば幸せになれると私は信じて生きてます」」

伊藤「今は幸を感じながら生きてる?」
渡辺「幸せです。恋人の顔を見ているときが幸せだし、音楽をみんなが聞いてくれたら
    幸せやし、それで納得できれば幸せ、やね」

伊藤「ちなみに2001年の目標は?」
渡辺「えー 出産!」
伊藤「出産!?へー、男の子か女の子かどっちがいい?」
渡辺「私はマザコンな男性が好きなので男の子。絶対に彼女にはわたさへん!
    うそです!なるべく一人で生きていけるような強い子供を育てながら、私も
    命をかけて守れるものを作って自分も強くなりたいです」
伊藤「家族と音楽は両立しますか?」
渡辺「家族があっての音楽やと思うし、両立というよりそれがないと意味ないわ。音楽は
    生活の上になりたってるよ。絶対に」

伊藤「じゃあ、これからはどんな音楽をやってこうと思ってますか?」
渡辺「やっぱり、これからも生活をベースにした音楽をやっていきたいです。
    私自身にそんな深みとか感じたりしないけど、自分が音楽を聞くときにその人が見える音楽が好きなので、私もそういう音楽がやりたいです。愛らしかったり憎たらしかったり、はっきりしている音楽がやりたいです。あいまいなものはいらない、というか。
 あと楽器のできない人の音楽が好きで、私もどんどん新しい楽器をしたいと思っていて、いま興味があるのはトロンボーン。このあいだブエナビスタのライブを見に行って、おじさんもよかったけどバンドマスターのトロンボーンの若い人がよくって、あんないいトロンボーンは初めて聞いて。奏法的にもトロンボーンは美学を感じていて、のばしたり引いたりするところとか、音と音の間のに潜む音がでるの素晴らしい楽器やと思うので。これまで吹く楽器は何回も挫折してるけど、やってみたいねー」

伊藤「拠点はずっと京都でやってくの?」
渡辺「いや、それはちょっと微妙。いい話やったら京都にこだわらへん。お金をいっぱいくれたりするなら
    東京でもいいかもしれない」
伊藤「生活に困らないなら」
渡辺「困らないとかじゃなくて億とかくれるなら。ちょっともらって言うことを聞くのはいややけど。
    そのくらいくれるなら、金の前にひれ伏して、練習もいっぱいします(笑)」

伊藤「で、10代から音楽をずっとやってきて、ベーちゃんにとって音楽とは何だと思う?」
渡辺「音楽とは、「楽しい」?。楽しい時間を過ごすもの。自分の感情を音に出して、自分の耳で
    またそれを聞いて安定する便利な薬?ちゃうかなーもの。音楽をやっていていやだと
    思ったことはないし、そういった意味ではとても純な、まじりっけのない時間を過ごさせて
    くれたと思います」
伊藤「じゃあ最後にファンの人にメッセージを」
渡辺「裏切ったりするかもしれないけど、生きてる間はやめないので、興味を持ってくれて、いい曲が
    できたら聞いてください」

(2000.12.15 京都・中堂寺にて)


渡辺 智江
通称べーちゃん。ザ・コケッシーズのボーカル・ギターとしてMIDI Creativeからアルバム「ウイッスル」を発表。テキサスで行われる国際的ロックフェス「SOUTH×SOUTH WEST」にも出演するなど音楽シーンをにぎわせる。99年にザ・コケッシーズは解散。現在はコケッシーズのDrのサミーとロックユニット「ピジョンズ」を結成し活動中。またのこぎり奏者のひさだようこと「ひさだようことベートルズ」としても活動。音楽以外に映画にも出演している。その愛情に満ちた歌声とキャラクターにファン多し。

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