年の瀬です。いろんな世界で大きなことがあった2009年。激動の年にどんな作品が生まれたのか。オトサタ執筆陣の独自ランキングで振り返ります。






クロカワユウキ


トモフスキー「幻想」

TOMOVSKYが新作を出すと、その年のベストは自動的に決まります。そういうもんです。ちなみに僕の2009年のテーマは「AKY(あえて空気読まない)」でした。ありがとう、トモさん。これからも末永くよろしくお願いします。

□□□(クチロロ)
「everyday is a symphony」


偉そうに5枚(+?)を選んでみましたが、これが限界です。これ以外は何も分かりません。ちょっとショックだったのは、「rockin'on JAPAN」が遂に1・2月合併号を出してしまった上、2010年は「JAPAN JAM」とかいう新しいフェスを手掛けると聞いたことです。ことは一音楽出版社の業務の変質にとどまりません。今後の音楽業界を見晴るかす材料として、あまりに示唆的な出来事であるように思います。それから2009年は1年ぶりくらいにライブハウスに行った(YO LA TENGO)のですが、開場後、狭い場所で客を1時間立ったまま待たせ続けるシステムの異常性があらためて気になりました。ささやかながら違和感を表明しておきます。
いとうせいこうが加入したことを1カ月遅れくらいで知ってものすごくビックリしました。以前タワレコで「くるり、スーパーカー好きにオススメ!」と書かれていたのを見てものすごくガッカリしました。

フジファブリック「CHRONICLE」

志村の急逝には忌野清志郎や加藤和彦、マイケル・ジャクソンのそれとはまた違うダメージを受けました。偉人ではなく、身近な友人を失ったような感覚。ひねくれていながら、一直線に王道を射抜く絶妙なポップセンスには何度も舌を巻きました。艶のある声も素晴らしい。残念ながらこれがラストの作品となりそうですが、「全力で走れ 全力で走れ 36度5分の体温」(「sugar!!」)という瑞々しい叫びは決して色褪せません。

嵐「All the BEST! 1999-2009」

デビュー曲「A・RA・SHI」はカラオケのネタとして重宝させて頂きました。それが2007年の「Happiness」のあまりにも素敵な振り付けと曲調に心臓を撃ち抜かれてしまい、爾来、夫婦揃って熱心なファンになってしまいました。2009年はオリコンランキングを席巻したそうで、本当におめでたいことです。ベストは5年ぶり3作目ですが、最も勢いのあるここ2、3年のシングル群が収められているのが大きな魅力です。特に映画「ヤッターマン」の主題歌「Believe」は抜群の殺傷力を誇る新たなキラーチューン。赤面必至の櫻井君の青臭い「ラップ詞」にも注目です。

Perfume「凵v

最近TVで見るあ〜ちゃんが少しずつかわいくなってきていることに気づき、勝手に安堵している私です。


Jamie Cullum「GranTorino」
(feat. Clint Eastwood as Walt Kowalski)

アルバムではありませんが、2009年最も聴いたのはこの曲。言わずと知れたクリント・イーストウッド監督の傑作『グラン・トリノ』の主題歌です。映画同様、何度もリピートしたい(実際しましたが)珠玉のナンバーであります。








葛城淳司


Beirut
「March Of The Zapotec And Realpeople Holland」”

我らがベイルートです。前作、前々作とヨーロッパ、フランス、そして今回南米と、テックスメックス、マリアッチです。 私の好きな南米です。イヨッホ〜と叫ぶ、叫ばないは、次の段階の話ですが…。素晴らしいです。 黄昏れて躍動的になり、悲哀のある、これぞベイルートの行ってほしかった旅であります。今回、2枚組。1枚、生楽器、1枚、電子楽器の構成。良いです。 次回は、ベイルートの旅、どこに行かれることでしょうか…。

Perfume「凵v

去年に引き続きパヒュームです。嫁さんに気持ち悪がられようが、オタクに間違われようがパヒュームです。 これは、やはり良いです。音楽的に中田さんの勝利であります。 潰れたベースシンセの音に酔いつつ、四ツ打ちのベードラ、ボコーダーを通したボーカル。やはり良い。やはり一番良いのは、パヒュームのボブの女子か…やはり。
 ” 七に二をたしゃ九になるが
  九になりゃまだまだいい方で
  四に四をたしても苦になって
  夢は夜ひらく ”
 (三上 完 夢は夜ひらく)

今年一年訃報続きで、忌野清志郎から加藤和彦、しいては町内の田中さんまでもが他界した。田中さんは面識のない婆さんであるが、惜しいことを、、、と悔やみきれぬ一年であった。 そこでベスト5。自分なりにベスト5ではあるが、ベスト3と訃報にちなみワースト2を選ぶ。伊藤編集長ゴメンなさい、無駄こそ人生の醍醐味です。

ハナレグミ「あいのわ」

良いよね〜、ハナレグミ。 この人の音聴いて思うことは、この人自体、人が好きなんだろうなってことです。 これだけ人のこと好きな人でないと、これだけの作品創れないし、愛に満ちています。 芸術、創造は愛であり、売名や金儲けじゃ、どこか偏る。マイケル ジャクソンの死がそれを物語っています。 貧乏と富、有名と無名、人生それに囚われたらおしまいよ。

Yoko Ono Plastic Ono Band
「Between My Head And The Sky 」

ワーストと言っても、面白いが変な作品で、何も今すぐ捨てろ、割る、中古屋へ走れ!と言うことのできないアルバムです。 しかし、息子ショーンは偉いね。母親とは言えここまで付き合って、レーベルまで立てて、彼女まで引きずり込んで…。嫁姑問題ないのですかねぇ〜と言いたくなるアルバムです。 この作品を前にして、芸能レポータばりに裏を詮索したくなるアルバムとなっています。 でもこの人も愛や平和いまだ謳っているが、この人にはいまだ死は訪れない様であります。

Ry Cooder Anyhology 
「The UFO Has Landed 」

今年来日で最大に期待をしていた、ライ クーダー様。 ライ クーダー様のアルバムは全て持っています。海外のアーティストとの共演、存じ上げています。しかしアンソロジーこの内容はあまりにも、お粗末ではないでしょうか。自選とは言え…。ファンとしては無国籍、ギター、弦楽器の探求こそアンソロジーと成り得た様に思います。個人的には、”チキンスキンミュージック” ”ジャズ” 辺りが入っていればと思います。しかし、ニック ロウとのライブ良かったです。

こんな、ところでしょうか。ベストライブは、4月29日服部緑地の屋外ライブ。
死して先に代わる者あり、次に次代に期待をしつつ来年はどうなるか楽しみです。
人生に幸あれ…。








siwapuri


相対性理論「ハイファイ新書」

この世界に入り込んではだめだ。と、距離をおいていたのもつかの間。夏には生やくしまるえつこを観に東京までいってしまうくらいにLOVEずっきゅん。秋葉原のメイド喫茶で「相対性理論いいよね!」なんて話ができたことは今年一番の思い出。

Perfume「凵v

国民的アイドルの座を狙えるポジションにいながら、その期待にそっぽをむく挑発的な書き下ろし6曲には未だ戸惑いを隠せない。ライブでは驚くほど王道アイドルだったけどさ。結局のところ、ますますかしゆかから目が離せないんだ。

ミュージシャンの訃報が目立った年。著名なあの3人のほかにも、ブロッサム・ディアリー、ケニー・ランキン、バド・シャンク、それから偉大な写真家サム・ハスキンスが亡くなった。 音楽以外では、なんといってもTwitter。リアルタイムウェブの面白さに震えた一年でした。ちょうどいまTwitter経由で知ったUST DJをみています。 http://twitter.com/siwapuri

MEG「BEAUTIFUL」

Perfumeの新譜と同時期のリリース。とくに話題になることはなかったものの、中田ヤスタカの仕事に手抜きなどあるはずもなし。淡白な素材を豊富な香辛料で引き立てた超スパイシーな一品。旨し。

前園直樹グループ
「火をつける。
 前園直樹グループ第一集」

前園直樹、小西康陽、羽立光孝による、古い日本の歌のカヴァーアルバム。当初はアルバムを作る予定はなく、ライブ活動のみを宣言していた。これはポストYouTube時代における小西康陽からの回答。ではなくて。

Jim O'Rourke「The Visiter」

ミュージックマガジンの年間ベストではまったくスルーされていた圧倒的なインストアルバム。全1曲。ジム・オルークのアルバムはいつも最高としかいいようがない。サインをねだった際には「音楽革命」と書いてくれました。








伊藤健


忌野清志郎「Oh!RADIO」

青山墓地でならんだ6時間。薄暮の中の東京タワーや、斎場の巨大なヒトハタウサギ、爆音の中泣き笑う人たち。 体験したことのない感情と忘れられない情景は、8月に父を亡くした時にも蘇ってきた。デモ音源故にボスの優しさが充満している。

くるり「魂のゆくえ」

最新作が常に最高作の記録は続く。エレクトロやオーケストラなどのギミックなしで、よいメロディとよい演奏だけで勝負。 聞くたびにじんわり味わいが広がる滋味あふれるアルバム。

世間的にも個人的にも大きな別れが続いたが、リセットして2010年はいい年でありますように。
今年は音楽以上にポッドキャストを聞いた。TBSラジオの「タマフル」「キラキラ」、コレクターズの「池袋交差点24時」など、面白い番組が目白押しで深夜ラジオを聴き始めた中学時代のようにハマッた。今年1番聞いたアーティストはTBSラジオの橋本P、間違いなく。

The Beatles「The Beatles」

堅実に良い仕事のリマスターBOXには今年後半かなり楽しませてもらった。「Abbey Road」もいいけども、いま聞いて一番面白いのはこれ。 アコースティックもロックもクラシックな小品も、2009年の作品としても古びていない。

Rufus Wainwright
「Milwaukee at Last!!!」

来日公演も最高だった2008年ツアーのライブ盤。歌も上手いし、楽器も上手い。なにより溢れるエンタテイナー気質が素晴らしい。DVDも出ているので、おネエパワーが炸裂する、なりきジュディ・ガーランドの「GET HAPPY」は是非映像で!

ザ・フォーク・クルセダーズ
「フォークル・フェアウェル・コンサート」

今秋、加藤氏に仕事のお願いをしようとしていた矢先の訃報。それを受けてか解散コンサート音源が急遽再発。デビュー1年足らずにして、この洗練、この洒脱。 常に先を行っていた男は、最後も我々を置き去りにしていってしまった。お願いしたかった仕事は来年必ず形にしたい。



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