「自信が確信に変わりました」世紀の大打者イチローから3三振を奪った夜、 西武ライオンズの松坂大輔はそう語った。
 「音楽感謝vol.2」。それはまさに僕の中でも自信が確信に変わった夜だった。
 その日は朝から曇り空で、天気予報は曇りのち雨だった。
僕は大抵、昔から大切な日には雨が降る。そう、雨男なのだ。
何とか開場まで持ってくれ、という願いは虚しくリハーサルが始まる前にすでに雨が降り出した。

 「雨だからみんな来てくれないんじゃないか」そのことだけが頭を締めつけた。 そして、開場。しかし、僕の心配とは裏腹にすごい人の列が出来ていた。
スゴイ夜になりそうな予感が少しした。
AnOtheR
AnOtheR
前回の「音楽感謝vol.1」のときに出演して頂いたはやしいとさんのバックバンドだった大槻健彦さん(G&Vo.)と小山晃一さん(B)のバンド。極上のAORサウンドを奏でる2人組だ。関西初登場なので初めて見る人がほとんどだった。
しかし演奏が始まった瞬間、観客はそのサウンドに吸い込まれた。
跳ねるドラム、転がるエレピ、そして絶妙のカッティングギター・・・。
まさにAORそのものだ。こんなバンドは関西にはいない。いや、日本国内でも有数だろう。絶妙のサウンドに体が思わず揺れる。特にラストナンバー「STAY」のラストは圧巻だった。ピタッと息の合ったブレイクが決まると会場から拍手&歓声が起こった。
AnOtheRの魅力を十分に見せつけたステージだった。





彼らのライブを初めて見たのは、京都タワーレコードのインストアライブだった。 そのとき、あまりの感動でCDをすぐに買ったのを覚えている・・・。
まさか、そんな憧れのバンドを自分のイベントに呼べるなんて夢にも思わなかった。
先日発売された「喫茶ロックnow」にも収録された期待のバンドでもある。 この日のステージはその期待をいい意味で裏切った。CD「GOOD TIMES ARE COMIN'」で見せたカントリーロック路線ではなく、ブルース〜ソウル色濃いステージを繰り広げたのである。どの曲もアレンジにブルースを感じた。そんな中でもラストナンバーの「風に乗って」のアレンジは素晴らしかった。「圧倒」とはこういうことを言うのであろう。
まさに圧倒された。ラストの部分の掛け合いには身の震える思いがした。
観客の中には涙する人もいた。彼らがステージの上から伝えたメッセージは間違いなく観客の心にストレートに突き刺さったように思う。
rallypapa&carnegiemama
rallypapa&carnegiemama





永江孝志
永江孝志
vol.1に続き、音楽感謝2回目の登場の永江孝志。前回はデュオという形態での ステージだったが、今回はバンド編成。まず、率直に思った感想が「かっこいい」というものだった。まずアレンジがすごく効いていたと思う。今まで馴染みのあった曲の数々が色んな表情を見せてくれた。3月末に発売される「SMELLS LIKE TEENAGE SHMPHONY」に収録されるという「Perfect Day」が個人的には出色。 前回のvol.1のときは体調不良のため、満足のいくステージではなかったようだが今回は本人をして「とても楽しかった」というステージだったようで、見ている僕達も本当に楽しい気持ちにさせてくれた。





結論から言うと、「最高」の一言だった。僕がボキャ貧なだけかも知れないがそれ以外の言葉が見つからないくらいのステージだった。ステージに用意された楽器はエレキギター1本。しかし、それで十分だった。だって直枝政広が歌うのだから。 言わずと知れたCarnationのG&Vo.であるが、そんな肩書きはこの際どうでも良かった。 ただ、そこには直枝政広のギターと唄がある。Carnationの楽曲を中心にソロ作、そして友人の曲のカバー、更に久保田真琴と夕焼け楽団のカバーまで飛び出した。 何よりも圧巻だったのは、ヒックスヴィルの真城めぐみを迎えての2曲。 「市民プール」と「Sweet Baby」を信じられないようなハーモニーで・・・ その瞬間、メトロにいた180人の観客、スタッフ、DJのフカミ氏、そして僕、全員が固まってしまった。一歩も動けないくらいに固まった。瞬きをするのも惜しいくらいの時間だった。全11曲。「演奏曲はステージで決めます」と言っていた直枝氏の充実が伺える11曲だった。唄の原点を見た気がした。 直枝政広
直枝政広





ヒックスヴィル
ヒックスヴィル
直枝政広の余韻がまだ残る中、登場した3人組、ヒックスヴィル。僕が長年憧れていたバンドだ。この3人でしか出せない音をこの日も聴かせてくれた。柔らかい音。本当に空気を暖かくしてくれる音だった。オープニングは「ライダー」。見事なコーラスワークが曲全体を駆け抜けた。そして曲間に入る絶妙なMC。本当に空気がどんどん暖かくなってくるのが分かった。中盤の「ラジオ」ではその暖かさが最高潮だった。観客の手拍子がその暖かさを後押しした。いつの間にかメトロの中が全員笑顔になっていた。そう、僕がやりたかったのはこういうことだったんだ、と改めて思った。そしてAnOtheRのリズム隊を借りてのラスト2曲「バイバイブルース」、「バンブークラブ」。これにはもう会場全員が体でその楽しさを表現していた。当然のごとく起こったアンコール。それに応えてヒックスヴィル3人だけでの「浅き夢見し」で静かにその幕を閉じた。





今回、僕の自信が確信に変わったというのは「音楽ってこういうものだ」ということ。
「音」を「楽」しむ。これを再認識できたイベントだった。音楽の原点を見た気がした。
お客さんそれぞれが笑顔でメトロを後にする姿を見て、正直、「やってよかった」と思えた。でも、まだこれで終わりじゃなくてこれを継続していけるようにしたい。
音楽感謝はそういうイベントです。
text : なかがみ ひろとし
photo : イトウタケシ

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