explanation by takuya ※1 Full Metal Jackoff 映画「フルメタルジャケット」をもじったタイトル。full metal jacketとは軍用の弾丸「被覆鋼弾」の意味。Jackoffはスラングでオナニーのこと。 軍用の弾丸は鉛の弾体を真鍮などで完全に覆うようジュネーブ条約で決められている。貫通することで破片が残りにくく、手術などが行いやすいようにという人道的配慮である。反対に警察用は鉛が剥き出しであるのは弾丸が破壊変形され貫通せず、また跳弾がおこり難く、無関係な第三者が被弾しないようにという配慮である。映画の中で狂った新兵の「7.62ミリメーター、フルメタルジャケット」との台詞が有名だ。さて2003年イラクで外務省の奥参事官と井上書記官、イラク人ドライバーが7.62mmで射殺され、犯人は不明という事件をご存知だろうか?アメリカ軍の誤射ではないかと国会でも取り上げられた。結局、現在のアメリカ軍の主力アサルトライフルは5.56mmが主流で(実際は7.62mmNATO弾も使っている)、7.62mmのカラシニコフを使うイラク側が犯人だとされた。遺体から発見された弾丸の破片はフルメタルジャケット真鍮、そして芯材の鉛だった。しかしロシア製の弾丸は材料コストの高い鉛ではなく、鉄を真鍮でジャケットしていることが多いという事実は検証されなかった… ※2 コントラ ニカラグアの反政府右翼軍。正確にはFDN、ARDE、YATAMAなどの反政府軍の総称で、Contraとは「反動」の意味。サンディニスタ革命政権を叩くためレーガン政権下のアメリカの資金で結成された。民兵というより傭兵集団であり、一般人に対する誘拐や拷問、処刑を行ったり、民家、病院や学校を標的にするなど悪評が高い。下記のイラン・コントラ事件の際、追い詰められたアメリカ政府に代わってコントラを支援しようとしたのが韓国起源の統一教会。日本では壷や印鑑を売るカルトという程度の認識だが、アメリカではワシントンタイムスなどの新聞を持つ強力な国際的反共ロビーだ。実は日本の右翼や政治団体にも統一教会から資金や人的援助を受けている者がいる。自民党もそのひとつ。「美しい国」の安部元首相も関係を取りざたされている。 ※3 イラン・コントラ事件 80年代初頭、当時イラクと戦争中だったイランは反米国家だったため、一旦イスラエルを経由する正規ルートでアメリカは武器輸出を行っていた。それとは別に秘密裏にアメリカが直接武器をイランやヒズボラに輸出し、そこで作った裏金でコントラを援助していたのがイラン・コントラ事件。援助の見返りにコントラから受け取った麻薬を、軍とCIAがアメリカ国内に流通させていたという噂をこの歌は扱っている。 ドラッグは敵の士気を削ぎ味方の資金になる一石二鳥の軍事物資だ。アヘン戦争が有名だが実はその後日本が中国に流通させたアヘンやヘロインの量はイギリスを凌ぐらしい。これらの苦い経験から中国共産党の毛沢東はベトナム戦争中のアメリカ軍にマリファナを始めとするドラッグを闇ルートで流通させたそうだ。そもそもドラッグの開発には軍隊の影がちらつく。覚醒剤の開発に日本軍が関わったという話だし、(「突撃錠」などと名売って使用していた)メサドンの開発にはドイツ軍、LSDにはアメリカ軍が関わっている。 ※4 ジョージ・H・W・ブッシュ(W・ブッシュの父、パパ・ブッシュ) 当時の副大統領 元CIA長官 後に第41代アメリカ合衆国大統領。 パナマ“侵攻”や、後のイラク戦争につながる湾岸戦争をおこなった。ドラッグに関しても厳しい対応をとったのだが、息子のW・ブッシュ(後の第43代大統領)はコカイン使用で2回も警察のお世話に。1992年ビル・クリントンはパパ・ブッシュと大統領選で闘っている最中にも関わらずマリファナの使用体験をカミングアウトした。ブッシュの厳格すぎる麻薬対策に対する国民の反感を感じ取っていたのだろう。 ※5 ベトナム戦争時の東南アジアでのCIAによるドラッグトラフィッキング ウィスコンシン大学マジソン校の歴史学教授アルフレッド・マッコイによると、アメリカは早ければ第二次世界大戦前からラオス、カンボジア、ベトナムでのヘロインやオピウム密輸に荷担していた。資金は反共勢力や機密軍事作戦の資金とされた。問題は末端消費者が敵勢力ではなく自国の軍人だったことだ。一説によればベトナム戦争中の下級兵(黒人や貧民の割合が高い)の10〜15パーセントがヘロインを使用していた。またベトナムがインドシナと呼ばれた時代の宗主国であるフランスの情報機関「SDECE」もトルコ経由でアメリカにヘロインを密輸していた。 ※6 ダン・クエール パパ・ブッシュ政権の副大統領。数々の失言にはじまり、「ポテト」の綴りを間違えて覚えていたり、火星は地球と同じ軌道を廻っていると信じていたり、ラテン・アメリカの人々はラテン語を話すと思っていたり…W・ブッシュと共に、知能が低くても(家系さえ良ければ)政治家になれるというアメリカンドリームを人々に与えた。 ※7 ウィリー・ホートン 有名な殺人犯。マサチューセッツ州で仮釈放無しの終身刑を受けていたが、週末に自宅訪問ができる更正プログラム中に脱走、カップルを襲い男性をナイフで刺し女性を強姦した。更正プログラムが行われた1986年当時のマサチューセッツ知事はマイケル・デュカキス。(彼自身はこの制度には反対していた。)1988年、デュカキスと大統領選を闘ったパパ・ブッシュはホートンをTV広告でのネガティブキャンペーンに利用した。いわく「デュカキスは死刑制度に反対するだけでなくウィリー・ホートンのような犯罪者を野放しにします。死刑を推進するブッシュを応援しよう!」その結果ホートンはアメリカで最も有名な殺人犯の1人になった。ブッシュ陣営の広報担当者は後に「問題はウィリーがナイフを持ってる写真か、素手の写真のどちらを使うかということだった。」と語った。また本名はウィリアム・R・ホートンだが、黒人の典型的なニックネーム「ウィリー」を使ったことも問題とされた。 ※8 オリバー・ノース アナポリス卒業の元海兵隊員、テロ対策のため大統領直属の機関NSC(国家安全保障会議)に所属し、イラン・コントラ事件やその他の機密軍事作戦に関わった。議会での宣誓下で虚偽の証言を行うなど重大な犯罪を重ねたにも関わらず、地方裁判所は罰金15万ドルの判決。その後罰金も免除される。議会や国民を欺いたにも関わらず、悪びれずに自分の信じる正義を訴え続ける姿がTVで放映されたため、(レーガンやパパ・ブッシュをかばい罪をかぶったとの説も。)一部の保守層から熱狂的な人気を得た。共和党員。現在は著作活動をしているそうだが… |