ジュズツナギ

小学生の頃、夏休みの宿題を八月三十一日までに仕上げたことがありませんでした。そればかりか、九月に入り提出日が来てもほったらかしたまま迎え、更に延長された提出期限も我慢強く耐えぬき、そのまま先生が忘れてくれるかなぁという甘い期待を抱き始めたころ教壇前に正座をさせられて、こっぴどく叱られる始末でした。(この文章もその様にして書かれています。因みに、この文章の第一次〆切は今年のゴールデンウィーク明けでした。)大人になっても人は変わらないものなんだなぁと思いました。なんとも情けない気持ちです。その様ないい加減な人間(失格)がお店の真似事(おままごと)をしていますが、お店も人間同様いい加減なので、お客さんも仲々来てくれません。暇です。自業自得ですね。でも暇な店で一人、好きな音楽を聴くのは楽しいです。少し寂しいかもしれませんが。心なし淋しい選曲が多い気がしますが。しかし暗くなってばかりもいられません。(実際のとこ、自分は根明なので暗くはならないのですが)。

いわゆるライブハウス以外で、カフェやギャラリーや居酒屋などで、ライブに接する機会は今では、もう珍しいことでは無くなったかと思います。京都は特に演奏者も多いようですし尚更かもしれませんね。自分もその様な場所で演奏を楽しむことも多々有ります。それで、時々自分の店でもライブをします。積極的に企画を立てる事は稀で、知り合いの知り合いなど、この文章と同じく数珠繋ぎ的な関係で演奏してもらうことが多い気がします。

先日、国際郵便が届きました。差出人は、ニック・パーマー。イギリスはドーセットからです。封筒の中には、クリスマスカードとＣＤが3枚。うち1枚には「japan2008」と記されています。

ニック・パーマーはDirectorsoundという名前で活動するミュージシャンです。といっても恐らく、この文章を読む人の二人くらいにしか知られてないようなミュージシャンなのですが…。しかし自分は昔から大好きで、一人お店にいる時も良く聴いていました。それで、来日でもすれば店はサボってライブを観に行こうなどと思ったりしていたものです。 それが今年の6月の終わりに細胞文学の黒田さん（奇しくも、この文章の前回の筆者です）から、イギリスから知り合いのミュージシャンが来るのでライブを出来る所を探していると、声をかけられました。日程的にギリギリで話が有ったため思っていたライブ会場とのスケジュールが合わない様子でした。そこで名前が出たのがDirectorsoundでした。その名前が出たことにも、それが黒田さんの口から出たことにも驚きでした。キツネにつままれました。痛くなかったです。 もちろん、こちらからも是非にと話を勧めることになりました。既に来日二週間をきっていましたが嬉しさもつのり、7月7日、8日と七夕2デイズライブを決めました。色んな事は繋がるもので（シンクロ二シティ？チャネリング？マーフィーの法則？）、Directorsoundは、ウチでよく演奏してくれる山梨在住のギタリスト川手さんとも知り合いで、一緒にツアーで京都まで周ってくることにもなりました。

さて、当日やって来たのは、その音楽からは想像しがたい大きなクマのような男でした…(でも顔は童顔)。しかし挨拶もそこそこに(オープン直前の到着でした)音合わせのため鳴らされた音は、紛れもなくDirectorsoundの音でした。

心配されたお客さんの入りも細胞文学さんのおかげでしっかり集り(といってもウチは30人も入ればギュウギュウギュウの狭い場所ですが)、無事ライブも終了しました。 いわゆる夢のような時間でした。

頑張れば…いや違いますね、頑張らなくても、たまには良い事有るんだなぁと思わせてくれた2日間でした。

「japan2008」とタイトルのついたＣＤには日本でのライブ録音が入っています。ウチでの演奏も2曲入っています。それを聴く度に夢ではなかったのだなぁと感慨に耽っています。この喜びは他人とは分かち難いものでしょうね。この喜びを胸に来年こそは、心を入れ替えて真面目にコツコツ頑張ろうと思います。人は努力すれば変われるはずです。それでは、良いお年を。