京都の1枚 京都な1枚



田浦 薫
(フォトグラファー・TAU Lab.)

・「京都の1枚」・・・・



ローザ・ルクセンブルグ【ぷりぷり】

これはもう説明は要らないでしょう。オンタイムで彼らの音楽を愛し、それこそ盤のミゾが擦りきれるまで聴いた諸兄も多くいらっしゃるであろうこの場で、なにをいまさらという気もしますが、ぼくにとっての京都の1枚といえばやはりこれ。身の上話でご勘弁ください。

彼らの音楽との出会いは、このアルバムを知る少し前にツレの部屋で聴いた「さいあいあい」。なんじゃこりゃ、と思うと同時にそのハッピーなうたい声に頭の中からくすぐられ、当時童貞中学生のミソラにはすこしヤラシイ歌詞がぐるぐるまわり、なんだかキモチよかったことを今また思い出しました。カドカワ映画音楽から始まったぼくの音楽ルーツはこの時が最初の岐路で、後にゼルダやパール兄弟、PSY'Sにハマッていきます。同じ轍を踏んだ方おられましたらご一報を。友達になれそうですね。

ともかく、衝撃を受けてへろへろになったぼくは近所(尼崎)の中古レコード屋を捜しまわり、レンタル落ちらしきアナログ盤をこづかいひと月分はたいて入手。レコードプレイヤーが家に無かったので前出のツレの家でテープに落とし、聴きまくった。でも当時のぼくにはこの作品のホントのところ・・というか、いちばん旨い部分を味わう素養がなかったように思います。それは、今日あらためて聴いてみても「あ、そうなんや!」と感嘆、そして「うわ、かっこええわ」と唸るぐらいなので、遡って顧みるに、もったいない聴き方をしていたことは明白です。

そして、こんな再発見的感動を将来にわたっても繰り返し続けてしまいそうなところが、この作品の凄さ。おそらく聴き終わらないアルバム。

ついでながら、ジャケのADは奥村靫正、写真が鋤田正義。そっち方面に明るい人は思わずニヤリ、なクレジットですね。

・ 「京都な1枚」・・・



Thomas Dolby【Astronauts & Heretics】

この人、京都という地には縁もゆかりも無いはずですが、なんとなく京都の風情を感じたのでここに挙げてみました。なんでしょうか・・繊細さ(言いかえれば、ややこしそうな感じ)とか、蒸すような湿度、あるいは人工物の挟間に棲息する昆虫の気配というか・・解りますか?

このアルバムには入っていない曲、「HYPER ACTIVE!」(2nd.アルバムに収録)をフェイバリットソングとする知人に言わせると、彼の音楽の良さは「“機械を駆使してカッコよさそうにしてるけれども足はクサそう”な人間性が見えるところ」だそうです。これは決してけなしているのではないことを付け加えておきます、当然ですが。ただ、足がクサいかどうかは知りません。

それはさておき。このアルバム、カッコイイのは事実です。そしてカッコイイだけではなく少しハズしたところもあって、その辺がまた魅力にもなっていると思います。いろんな音を詰め込んで、もういいやん、というところなのに彼のサービス精神がもうちょっと足してしまう。いや、イイんですよ、ほんとに。聴くシチュエーションとしては・・・夏の夜、網戸の外から虫の音が聞こえてくる・・部屋の照明は消すか暗めに設定・・エアコンはオフにして・・そして、ボリュームは絞りかげんに・・(夜なので)。一度お試しあれ。あと、このアルバムの中では2曲目「CRUEL」(ボーカルでエディ・リーダーも参加)がキモチイイのでいちばん好きです。



田浦 薫
主にインディーズミュージシャンの、ジャケット・ライブ・アーティスト写真を手がけている。フリーペーパー・ジャングルライフ誌上で「TAU Lab.のLive☆CAMERA」連載中。あらゆるパンとシュークリームを好む。
2001年内に開催予定の写真展「楽器持つ人々(仮題)」モデル募集中。
taulab@h7.dion.ne.jp

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